借地権に関するお金

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借地契約における
お金について
シーン別に解説します

借地権のお金

借地契約におけるお金について主に8つあります。それぞれ借地権の時期(タイミング)によって異なります。

第三者への売却や子どもへの譲渡・贈与時には名義書換料(譲渡承諾料)を支払います。この支払いは、売主(元々の借地権所有者)が行うことが一般的です。

SECTION01

借地契約に置けるお金(費用)

借地契約における費用は主に8つあります

  #01

契約時

(1)手付金

(手付金については借地権の取引においてのみ発生するものではなく、通常の不動産取引全般において適用されるものです。)
契約が成立したことを証明するために支払うお金のことです。
手付金の相場は契約金額の5~10%程度です。
手付金を支払った以上、すでに契約が成立していることを意味します。
このような手付金を支払う理由は、正式な土地の引渡しと代金の支払いに時間差があるからです。
不動産取引は高額で、現金一括で支払う方はほとんどいません。住宅ローンなどの融資を受けることが多く、この審査は、契約締結後に行われます。
審査には日数がかかりますが、その間に地主が他の方と借地契約を結んでしまう、売却してしまうなどされると大変です。
そのような事態を避けるためにも、手付金を支払うことで契約の意思を明確に示します。

(2)保証金(敷金)

借地権者に地代の滞納やその他の債務不履行があったときに、保証金を充当するという担保としての意味があります。
そのため、地代の不払いや原状回復の不履行がなければ、契約終了時に、そのまま返還されます。
ただし、保証金の清算は契約終了時が原則のため、契約期間中に地代の滞納があっても、保証金が充当されるわけではありません。
つまり、地主から地代の督促があり、それでも支払わなければ、滞納した地代分をまかなうには十分の保証金を支払っていたとしても、借地契約を解除されてしまいます。 契約解除時に、滞納した地代や賠償金、原状回復に必要な費用を差し引いて保証金が返還されます。

(3)権利金

権利金は「借地権」という権利を設定してもらった対価として支払うお金です。 借地権を地主に設定してもらうのではなく、すでに借地権が設定されている土地を購入するときには、その代金が権利金にあたるといえます。 そして、権利金は保証金のような預り金ではないので、一度授受されれば、契約終了時にも返還されません。 ただし、「地代の前払い」としての性質もあるため、地主都合による借地契約の解除であれば一部返還される場合があります。
これについては、後ほど詳しく解説します。ここまでが借地契約を結ぶときに必要な費用です。

権利金については詳しくこちらで解説しています。是非ご覧になってみて下さい。



  #02

契約期間中

(4)地代(賃料)

地代は、地主の土地を使用する対価として支払うお金です。
地代の一般的な金額(年間)目安は固都税の3~5倍前後です。
借地権のうち、賃借権の場合は賃料、地上権の場合は地代と呼ばれますが、どちらの場合でも一般的に「地代」と呼ばれています。
民法上では、地代は「当月分を当月末に支払う」と後払いになっていますが、実際の契約では「翌月分を前月末に支払う」という通常の家賃と同じく前払いになっていることが多いです。
なかには、半年・一年に1度に収めるというケースもあります。払い方は、地主へ手渡しや振り込みなどです。
地代の支払い時期を地主・借地権者双方で認識しておかないと、支払った地代が何月分なのか混乱するケースもありますので、最新の契約書を確認したり、地代を支払うときに「これは何月分」と双方で確認しあえばトラブルを避けられます。

(5)更新料

更新料は、借地契約を更新する際の、更新の対価として支払うお金です。
支払いは法律で定められているわけではなく、契約書に更新料の特約がある場合のみ、支払い義務があります。
そのため、特約がなければ更新料の支払いを地主から請求されても、拒否することができます。
更新料を支払わないことで契約解除されることもありません。しかしながら、ここまではあくまで法律の話です。将来の建替えや第三者への譲渡などの際にスムーズな承諾を得るためにも、更新料を支払って、地主との関係性を良好にしておく事をおすすめします。
更新料の一般的な金額は更地価格の3%〜10%前後です。

地主さんは更新を拒否できるの?

期間満了時に地主さんが更新を拒否したらどうなるでしょうか。
借地借家法では、借地上に建物が存在する限り、借地人さんは契約の更新を請求することができ、これに対して地主さんが遅滞なく異議を述べなければ、契約は前と同じ条件で更新する、と定められています。
地主さんが意義を述べるには、「正当事由」が必要であるとされ、それと認められるのは「地主さんがその貸地のほかに住むところがない」といった非常に特殊な事情に限られます。
更新料の支払いは借地人さんの義務ではないとはいえ、一度トラブルになってしまうと関係修復は難しく、増改築や更新のたびに嫌な思いをすることになってしまいます。
特に相場よりかなり安い地代で借りているのであれば、この先も大きな地代の値上げなく借りられることは借地人さんにとって大きなメリットです。
地主さんとの関係を良好に保つためにも支払いには応じた方がよいであると考えられます。

  #03

借地人が何かしたい時 承諾料

承諾料は、「家を建て替える」「名義を変更する」など、借地人さん側から何かしらの動きを起こそうとしたときに、地主さんから請求されるものです。以下に借地権で取り扱う承諾料を示していきます。

(6)建替承諾料

建替承諾料は、借地上の建物の増改築を地主に認めてもらう対価として支払うお金です。
基本的に、借地上の建物は借地人の所有物なので、建築基準法の規定を満たす限り、どのように増改築しても自由です。
ただし、土地の賃貸借契約書に増改築禁止特約があったり、新法借地権で借地契約の更新をしていたりすれば、増改築には地主の承諾が必要になります。契約書にある禁止事項を破ると、借地権を失う場合があるので注意しなければなりません。
その際、契約書に承諾料について定められていれば、その金額を支払います。承諾料の定めがなければ、支払い義務はありません。
しかし、地主から建替えの承諾を得られないときには、裁判所に申し立てる(借地非訟)ことで地主の承諾に代わる許可を求めることになります。
建替承諾料の一般的な金額は木造なら更地価格の3~5%、鉄筋等であれば更地価格の8~10% 前後です。
増改築をすると、そこからまた20年間借地権が存続することになります。更新料に近い意味合いがある承諾料です。

(7)借地条件変更の承諾料

借地条件変更の承諾料は、借地上の建物の構造や用途の変更を地主に認めてもらう対価として支払うお金です。
一般的には、非堅固建物(木造)から堅固建物(鉄筋等)へ契約条件を変更することです。建物の構造が変更されるということは増改築の申し出でもあるので、増改築承諾料も含んだ金額が請求されます。
借地条件変更の承諾料の一般的な相場は更地価格の10%程度です。

(8)名義書換料(譲渡承諾料)

名義書換料は、名義変更承諾料・譲渡承諾料とも呼ばれます。売却や贈与などで借地人(借主)の名義の変更を地主に認めてもらう対価として支払うお金です。
この名義書換料は売買の際、売主側が負担することが多いですが、契約内容によっては買主が負担することもあるので、契約前に注意して確認することが大切です。
名義書換料の相場は借地権価格の5~15%程度です。
注意が必要なのは、第三者への売却だけでなく、子どもへの贈与の場合でも地主の承諾と名義書換料は必要となります、注意してください。(ただし、相続によって借地権の名義が変わる場合には名義書換料は不要です。)
地主さんの許可なしに、借地権を第三者に売却することは認められていません。勝手に売却すると借地契約の解除事由にあたり借地権が消滅する可能性がありますので、必ず地主さんに許可をもらいましょう。

なぜ承諾料は必要なのか?

なぜこうした承諾料が必要になるのでしょうか。
それは「建物が老朽化して住めないようになったら、その土地は地主さんに返却すこと」という法律があるからです。
つまり増改築や堅固な建物の変更は、地主さんの土地を取り戻す時期を遠のかせることにつながります。承諾料はそれについての代償というわけです。
また名義変更料は、「借地が不要になったらこちら(地主)に返還してください」とする地主の要請の代償です。
本来であれば借地人が不要になったら返還されるはずなのに、別の人(第三者)が継続して使用するのですから地主さんからすれば当然の請求であると考えられます。

借地権価格(借地権割合)について

借地権の権利は、土地の所有者である地主が持っている底地と、借りている人の借地権がある借地に分けられます。

借地権割合とは、その土地の権利のうち借地権側が何割を占めるかを示す数字です。
借地権割合が必要な理由として相続税(や贈与税)を計算するときに利用するためです。
借地権は相続財産に該当し、土地を利用する権利として価値のあるもののため親が自宅などに利用していた借地を子が相続した場合は相続財産として評価されます。その際、相続税評価額を計算するのに借地権割合を使うのです。東京近辺であれば大体通常60~70%です。

例えば、更地価格3000万円、借地権割合が70%の土地のケースですと、地主さんの持ち分が900万円(30%)、借地人さんの持ち分が2100万円(70%)ということです。
借地権割合について国税局のホームページに公開されており、誰でも閲覧できます。
ただし、これはあくまで相続財産を評価する際の基準のためのもので、一般の実際の売買等の際に強制されるものではありません。しかしながらこれに代わる指標が存在しないため、実務上通常はこの借地権割合を目安に取引されているのです。

たとえば、700Cという表記の場合、数字の横に書かれた「C」が借地権割合です。

記号 借地権割合
A 90%
B 80%
C 70%
D 60%
E 50%
F 40%
G 30%

借地権割合の調べ方

1.国税庁の「財産評価基準 路線価図・評価倍率表」のページから知りたい場所の住所を検索
面している道路沿いに数字とアルファベット(A-G)が書かれた地図が表示されます。数字が「路線価」で、アルファベットが「借地権割合」を表しています。

2.路線価図で記載されている数字から計算
路線価とはその道路に面した土地の1m2当たりの価格(単位は千円)のことで、この路線価に土地の面積をかけて相続税評価額を計算するのが基本です。 借地権割合は7つに分かれており、Aが90%、Bが80%、Cが70%、Dが60%というように10%ずつ区切られており、Gが30%です。
例えば「700C」と書かれていたら、その道路に面する土地の路線価は1m2あたり700,000円、借地権割合70%(借地人さんの権利割合が70%、地主さんの権利割合は30%)であることを示しています。

路線価図

参照:国税庁 路線価図

SECTION02

借地権に関する税金

借地権に関する税金について

借地権の税金

借地権のお金に関するもののなかで、税金について記載します。
借地権に関する税金についてですが、出てくる税金は、特別なものはなく通常の不動産を取り扱う時と同じ税金がかかります。

借地権を取得するときにかかる税金として、不動産取得税(建物があった場合建物部分に掛かります)、保有している時にかかる固定資産税・都市計画税、売却時にかかる不動産譲渡税、相続・贈与時にかかる相続税・贈与税があります。下記に詳しくのべておきます。

不動産を購入する時にかかる税金

不動産取得税(地方税)

売買・贈与で不動産を取得したとき、また新築・増築したときに都道府県が課税する地方税です。不動産を取得した際に1度だけ掛かります。
借地権の場合、土地の取得は無いので建物を建てた時、もしくは建物が建っているものを購入した時です。費用は建物価格に控除額(軽減措置に適用する建物の場合)を差し引き4%を乗じた額となります。(特例税率:2024年3月31日まで税率は3%)

相続税・贈与税(国税)

相続税も贈与税もその年の路線価を基準に計算いたします。



不動産を保有している時にかかる税金

固定資産税・都市計画税(地方税)

毎年1月1日に登記簿に記載された所有者に4月及び6月に納税通知書が届きます。その年の土地・建物の課税標準額に固定資産税は1.4%を掛け、都市計画税は0.3%掛けた金額となります(軽減措置など適用できる場合があります)。
建物については建物所有者(借地権者)、土地については地主が納付します。

不動産を売却する時にかかる税金

譲渡税(譲渡所得)

借地権を売却した時にかかる税金です。
譲渡価格-(取得費+譲渡諸費用)-特別控除額=課税譲渡所得5年以下の短期譲渡の場合の税率は39%、※厳密には39.63%(所得税30.63% 住民税 9%)
5年を超える長期譲渡の場合の税率は20%となります。※厳密には20.315%(所得税15.315% 住民税 5%)
(譲渡所得から最高で3000万円(共有者がいれば共有者一人につき)の特別控除を受けられ、その他、特例措置を受ける事が出来る場合があります。)注:復興特別所得税として各年分の基準所得税額の2.1%を所得税と併せて申告・納付することになります。

前述で借地権においての税金は通常の不動産取引時につかわれる税と同じと述べましたが、 借地権の場合に使われる用語として権利金の認定課税というものがあります。

権利金の認定課税

法人が所有する土地を他人に賃貸し、建物などを建てさせたときには、借地権が設定されたことになります。 この場合、通常、権利金を収受する慣行があるにもかかわらず例えば子会社等に土地を貸し付け、権利金を収受しないまたは通常とされる額より低い額だった場合には、受けられたはずの権利金があったものとして課税されることを認定課税といいます。

専門の税理士へ相談することをお勧めします。

不動産・借地権に関する税務の取扱いは非常に複雑です。
どのような手続きをすることが最適となるのか、専門の税理士へ相談することをおすすめします。

借地権についての関連リンク

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