権利金の話
権利金についてのお話になります。
権利金の金額に明確な規定はありません。
借地介入権とは、地主が借地非訟手続きに介入権の行使、つまり、借地権付きの建物を優先的に買取ることができる先買いの権利を意味します。
貸主である地主と借主である借地権者の合意で決まります。
権利金の一般的な相場としては、借地権の価格の3~7割(都心部は高め、商業地は高め)に設定されることが多いようです。
借地権価格は更地価格にその地域の借地権割合を掛けたもので、更地価格の6~9割です。
権利金の支払いは法律で定められている訳ではない
権利金の相場についてお伝えしましたが、権利金の支払いは法律で定められているわけではありません。
しかし、一般的には、権利金を支払う慣行がある地域であれば、権利金の支払いは必要です。
もし、そのような地域で権利金を支払うことなく借地権を取得した場合、権利金にあたる金額が借地人に贈与されたとみなされ、贈与税がかかる場合があります。これを権利金の認定課税といいます。
贈与税がかかるかどうかの判断は、地代の支払いがあるかどうかです。
地代の支払いがないか、あっても固定資産税相当額以下の低額であれば、使用貸借契約に近いとして贈与税の課税対象外となります。そのため、親子間であっても、権利金を支払う慣行がある地域で権利金を支払わず、相場並みの地代の授受を行っている場合には、贈与税がかかってしまうので注意してください。
ただし、権利金の支払いがなかったとしても、「相当の地代」と呼ばれる「年額が更地価格の6%程度の地代」を払っている場合には、贈与とみなされません。
相当の地代は通常の地代よりも高く、本来支払うべき権利金が相当の地代に含まれているとみなされるからです。
親子間での贈与税の課税を避けるためにも以下のことをしましょう。
- ・ 権利金を受け取らないなら地代も受け取らない
- ・ 通常の地代を受け取るなら権利金も受け取る
- ・ 権利金を受け取らず、地代を受け取るなら「相当の地代」を受け取る
< 国税庁 財産評価 第2章 第2節 27「借地権の評価」 > 財産評価の27「借地権の評価」がその根拠です。 借地権の設定に際しその設定の対価として通常権利金その他の一時金を支払うなど借地権の取引慣行があると認められる地域以外の地域にある借地権の価額は評価しない 参照:国税庁つまり、土地評価で使う路線図に借地権割合を示す記号がない場合や倍率表の借地権割合の欄が「-(ハイフン)」になっている場合は、「権利金を支払う慣行がない」ということになります。 ただし、権利金の支払い慣行がない地域であっても、地主が「権利金」に相当する費用を請求することができないわけではありません。 地主が権利金の支払いを求めてきた場合、支払い義務がないからといって拒否してしまうと、借地契約を結べないということにもなるでしょう。 したがって、借地権を取得するときには、最終的に地主の決定に従うことが原則です。 支払い過ぎた権利金は取り戻すことが難しい 繰り返しになりますが、権利金の支払いについても金額についても法律では一切定められていません。どのような金額であっても、地主と借地人との合意で決まります。 つまり、当時は相場以上の権利金であることを知らずに支払ったとしても、その金額で合意したのであれば、取り戻すことはまずできません。権利金には金額の基準もなく、返還義務もないからです。 権利金が戻ってくる可能性があるのは、地主都合による借地契約の途中解約のときだけです。 地主都合による借地契約の途中解約の場合、一部返還されることもある 権利金には、借地権設定の対価としてだけでなく、地代の前払いという捉え方があります。そのため、地主側の事情で借地契約が途中解約となった場合、一般的には、その残存期間に対応した金額を返還請求できるとされています。 借地契約を結ぶときでも「権利金」のみの記載では、その意味合いの解釈にずれが生まれて、契約終了時にトラブルに発展する可能性があります。 トラブル回避のため契約書に「権利金」ではなく「設定の対価」や「前払い地代」と明確に権利金の意味合いがわかるように表し、契約終了時点での返還義務の有無や返還する金額の計算方法について明記することが大切です。可能であれば弁護士などに契約書のチェックをお願いしましょう。 権利金についてまとめると、
- ・ 権利金の相場は、借地権価格の3〜7割
- ・ 権利金の支払いの有無は、その地域の慣行に依存する
- ・ 地主都合による途中解約の場合のみ、権利金の一部返還がある
- ・ 権利金には明確な基準があるわけでない。