借地権のトラブルシリーズ、借地権の譲渡および転貸についてです。
1.
借地権(賃借権)の譲渡や転貸する場合には地主の承諾が必要です。
- 借地権の譲渡とは
借地権の譲渡とは、借地権そのものを譲渡すること、借地上の建物を譲渡(売買)した場合には借地権も「従たる権利」として建物と一緒に譲渡されます。
- 借地権の転貸とは
借地権の転貸とは、借地人が借地を第三者に貸すことです。ちなみに、借地上の建物を貸すのは建物の賃貸なので、借地の転貸とは異なります。
借地権の譲渡転貸の中でも借地権が賃借権なのか地上権なのかによって異なります。借地権は一般的には「賃借権」であり今までの内容が該当しますが、借地権が「地上権」であった場合は、地上権は譲渡・転貸は自由で地主の承諾は不要です。これは「賃借権」が債権であるのに対し、地上権は「物権」であるからです。地上権そのものが強い権利であり、承諾がなくても自由に行えることが多い反面、地上権である借地は圧倒的に数は少なく珍しいものです。
2.地主が譲渡/転貸を承諾しない
地主がこれらの承諾を行わない場合、地主の承諾に代わる裁判所の許可を申し立てることになります。
許可のための要件としては
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土地の貸借権が存在する
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借地人が所有する(借地上の)建物が存在する
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借地人が建物および借地権を第三者に譲渡または転貸しようとする場合
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賃貸人(地主)の承諾がない
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賃貸人(地主)に不利になるおそれがない
以上が要件となります。
3.借地権の無断譲渡
借地権の無断譲渡を理由に地主から契約解除された場合、建物を譲り受けた者は地主に対して、時価で建物を買い取ってくれるように請求できます。
4.借地権の譲渡承諾料(名義書換料)
借地権付き建物を譲渡するには地主の承諾が必要です。その際地主は承諾料(名義書換料)として相当の対価を要求するのが一般的です。名義書換料は地域によって相場はことなりますが、平均例として借地権価格の10%程度と言われています。(名義変更料の相場=更地価格×借地権割合×10%前後)
例として更地価格が4,000万円、借地権割合が60%の土地の場合は、
借地権の譲渡については前述のとおり、借地権が地上権なのか賃借権家によって大きく異なります。地上権であれば地主の承諾等は得ずにすみますが、割合としては非常に少ない印象です。そのため譲渡する際には地主の承諾または、裁判所でそれに代わる許可を得ることになり手間や時間がかかるものと認識しておくべきでしょう。