ものがたりで底地借地を学ぶ知るシリーズ
三浦優子(41歳)は、マイホームの購入を検討していた。予算は三千万円。しかし都内では希望エリアの物件が予算オーバーになることが多く、なかなか良い物件に出会えなかった。夫と二人で週末のたびに内見を繰り返したが、「あと五百万円あれば」という物件ばかりだった。ある日、担当の不動産会社から「借地権付き建物という選択肢もあります」と提案された。
「借地権付き建物というのは、土地を購入せずに土地の使用権(借地権)だけを取得して建物を買う形です。土地の取得費用がかかりませんので、同じエリアの所有権物件と比べて購入価格が安くなることが多いです。都内では二割から四割程度安くなるケースもあります」
「具体的なメリットを教えてください」と優子は聞いた。「購入価格が安い点に加え、毎年の税負担も軽くなります。土地の固定資産税・都市計画税は地主が負担しますので、建物分だけの税負担で済みます。立地の良い場所でも手が届きやすい価格で購入できる点が大きな魅力です。また、毎月の地代は家賃より低いケースが多く、トータルコストで見ると有利な場合もあります」
「デメリットはありますか」「毎月、地代を支払い続ける必要があります。また、建て替えや大規模なリフォームを行う際は地主の承諾が必要で、承諾料がかかることもあります。住宅ローンを組む際に、土地の担保価値がないため所有権物件と比べて融資条件が厳しくなる場合があります。さらに、借地契約が終了した場合、建物を取り壊して土地を返還しなければならないリスクもあります」
「購入する際に地主の承諾は必要ですか」「はい。借地権付き建物を第三者に売却する際は、地主の承諾が必要です。承諾なしに売却すると、借地契約の解除事由になる可能性があります。購入の際は、売主が地主から譲渡承諾を得ているかを必ず確認してください。承諾料の相場は借地権価格の十パーセント程度です」
「借地権の種類も確認が必要ですか」「非常に重要です。旧借地法が適用される契約と、現行の借地借家法が適用される普通借地権では、存続期間や更新のルールが異なります。定期借地権の場合は、契約期間終了後に土地を返さなければなりません。購入前に必ず契約の種類と残存期間を確認してください。残存期間が短い場合、ローンの審査に影響することもあります」
優子は検討している物件の借地契約書を取り寄せた。旧借地法が適用される契約で、残存期間はまだ二十五年以上あることがわかった。地代は月三万円。所有権物件より五百万円安く購入できる計算だった。地主の承諾も確認済みで、譲渡承諾書が準備されていた。
住宅ローンの審査も無事に通り、優子は購入を決めた。引っ越しの日、広い間取りの家を見渡しながら、「諦めずに選択肢を広げてよかった」と思った。
借地権付き建物は、購入価格の安さが最大のメリットだ。ただし地代・建て替え承諾・ローン条件など所有権物件と異なる点がある。購入前に契約の種類・残存期間・地代・承諾状況を確認し、専門家のアドバイスを受けた上で判断することが大切だ。
【この記事で学べること】
借地権付き建物は同エリアの所有権物件より2~4割安くなることがあります。ただし地代の支払い・建て替え承諾・ローン条件など注意点があります。購入前に契約の種類・残存期間・地主の承諾状況を必ず確認しましょう。




