ものがたりで底地借地を学ぶ知るシリーズ
借地人の田島雅子(58歳)は、今年の秋に借地契約の更新時期を迎える。二十年前に父から引き継いだ家で、もう四十年以上この土地に住んでいる。更新にあたって地主の金田さんから「更新料をお支払いいただけますか」という連絡が来た。
雅子は「更新料」という言葉を初めて聞いた。払わなければならないものなのか、金額はどのくらいが妥当なのか、払わない場合はどうなるのか——何もわからなかった。不安を抱えたまま返事をするわけにもいかず、専門家に相談することにした。
「まず、更新料の支払い義務は契約書に定めがあるかどうかによります」と担当者は説明した。「借地借家法には更新料の支払いを義務付ける規定はありません。つまり、契約書に更新料の記載がなければ、法律上は支払い義務はありません。ただし、契約書に明記されている場合は支払いが必要です。まず契約書をご確認ください」
雅子が契約書を確認すると、「更新の際は更新料として借地権価格の五パーセントを支払う」という記載があった。つまり、契約上の支払い義務があることになる。
「更新料の相場はどのくらいですか」と雅子は聞いた。「地域によって異なりますが、借地権価格の三パーセントから五パーセントが一般的な目安です。都市部ほど高くなる傾向があります。借地権価格は、更地価格に借地権割合(路線価図に記載)を掛けて計算します。たとえば更地価格が三千万円、借地権割合が六十パーセントなら、借地権価格は一千八百万円です。この五パーセントなら更新料は約九十万円になります」
「旧法と新法で違いはありますか」という問いに、担当者はこう答えた。「旧借地法が適用される契約では、更新後の存続期間が建物の構造によって決まります(木造は二十年以上など)。一方、現行の借地借家法が適用される普通借地権では、更新後の期間は一律十年以上です。また、定期借地権の場合は契約期間が終了すると更新なしで終了しますので、更新料の概念自体がありません。ご自身の契約がどの種類かを確認することが重要です」
「更新料を支払えない場合はどうなりますか」と雅子はさらに聞いた。「更新料の不払いが直ちに契約解除につながるわけではありませんが、地主との関係が悪化するリスクがあります。金額について交渉の余地がある場合もありますので、一方的に拒絶するのではなく、専門家を交えて誠実に話し合うことをお勧めします。長い付き合いの中で培った信頼関係を壊さないことが、最終的には双方にとって利益になります」
雅子は専門家のサポートのもと、金田さんと話し合いを行った。契約書に記載された割合に基づいて算定した金額を確認し、双方が合意した。更新料の支払いと引き換えに、新しい契約書が作成された。「一人で悩んでいたより、専門家に入ってもらって話し合えてよかった」と雅子は感じた。
借地権の更新は、地主と借地人の双方にとって大切な節目だ。更新料の有無・金額は契約書の内容次第であり、相場を知った上で誠実に交渉することが、長く続く関係の維持につながる。更新時期が近づいたら、まず契約書を確認し、必要であれば早めに専門家に相談することをお勧めしたい。
【この記事で学べること】
更新料の支払い義務は契約書に定めがある場合のみです。相場は借地権価格の3〜5%程度。旧法借地権と新法普通借地権では更新後の存続期間が異なります。更新時期が近づいたら早めに契約書を確認しましょう。




