ものがたりで底地借地を学ぶ知るシリーズ
松本和彦(62歳)は、自分が持つ土地の活用方法を長年悩んでいた。底地として貸していた土地の借地契約が終了したことで、久しぶりに更地が戻ってきた。売却することも考えたが、老後の収入源として活用したいという気持ちもある。不動産会社に相談すると、「定期借地権を使った土地活用はいかがですか」と提案された。
和彦には「定期借地権」という言葉自体が初めてだった。専門家に詳しく教えてもらった。「定期借地権とは、契約期間が終了すれば更新なしで必ず土地が戻ってくる借地権の一種です。通常の借地権(普通借地権)と異なり、地主が更新を断れない問題がありません。平成四年の借地借家法改正で創設された制度です。普通借地権では借地人の権利が強く保護されすぎて土地が戻ってこないケースがありましたが、この問題を解消するために作られました」
「定期借地権にはいくつか種類があります」と担当者は続けた。「一つ目は『一般定期借地権』で、存続期間は五十年以上です。期間終了後は建物を取り壊して更地で返還されます。住宅用途に多く使われます。二つ目は『事業用定期借地権』で、存続期間は十年以上五十年未満です。コンビニ、チェーン店、物流施設などの事業用途に限定されています。三つ目は『建物譲渡特約付き借地権』で、三十年以上の期間後に地主が建物を買い取ることを特約で定めるものです」
「一般定期借地権のメリットは何ですか」と和彦は聞いた。「五十年後には必ず土地が戻ります。借地人から一時金(保証金や権利金)を受け取ることができ、月々の地代収入も得られます。普通借地権のように「土地が戻らない」という心配がないため、地主にとって安心感があります」
「事業用定期借地権の場合はどうですか」「存続期間が十年以上五十年未満と短い分、土地を取り戻すタイミングが早くなります。大手チェーンや物流会社が借地人になることが多く、地代も安定しやすいです。ただし、事業用途限定のため住宅は建てられません。土地の立地や形状によってどちらが向いているかが変わりますので、専門家に相談することをお勧めします」
「注意すべき点はありますか」「定期借地権は契約の設計が非常に重要です。一般定期借地権は必ず書面による契約が必要です。また、途中解約は原則として認められないため、長期間にわたる資金計画を立てた上で判断することが大切です。契約期間中に地主が亡くなった場合は、相続人が契約を引き継ぎます」
和彦は、土地の立地を考えると事業用定期借地権が向いていると判断した。幹線道路に面した土地だったため、コンビニエンスストアの運営会社との交渉が始まった。
交渉の末、二十年の事業用定期借地権契約が成立した。毎月安定した地代収入を得ながら、二十年後には更地で土地が戻ってくる仕組みが整った。「条件がはっきりしているので、安心して貸せる」と和彦は感じた。
定期借地権は、地主にとって「土地が必ず戻ってくる」安心感がある土地活用の方法だ。一般・事業用・建物譲渡特約付きの三種類を理解し、土地の立地や活用目的に合った方法を専門家と一緒に選ぶことが大切だ。
【この記事で学べること】
定期借地権は契約期間終了後に必ず土地が戻る借地権です。①一般定期借地権(50年以上・住宅用)②事業用定期借地権(10~50年未満・事業用)③建物譲渡特約付き借地権の3種類があります。普通借地権と異なり更新がなく地主に安心感があります。




