地役権とは、一定の目的の範囲内で、他人の土地(承役地)を自分の土地(要役地)のために利用する物権のことをいいます(民法第280条)。地役権の設定は、例えば、公道と自分の土地の間にある他人の土地(私道)を通行したり(通行地役権つうこうちえきけん)、用水路から自分の土地まで水を引くなどの目的で行います。また、電力会社が高圧線の下にある土地に地役権を設定し、一定以上の高さの建物の建築を制限するケースも多く見られます。このほか最近は、眺望や日照の確保のために地役権を設定するケースもあります。
地役権の契約は、要役地と承役地の所有者の合意「地役権設定契約」によって行われます。地役権の設定後は、その土地(要役地)の売却などで所有権が移転する場合、地役権も合わせて移転します。他人の土地を通行する地役権だけを売買するなど、要役地と切り離して地役権を処分することはできません。利用によって利益を得る側の土地を要役地(ようえきち)と呼び、利用される側の土地は承役地(しょうえきち)と呼びます。