解決方法2 同時売却
「同時売却」とは地主のもつ底地と借地人がもつ借地権を同時に第三者に売却することだ。
この場合、土地の所有権の売却と同じになるため、各々単体(底地と借地権を別々)での売却よりも、高値での売却が可能となる。
同時売却のポイントは、借地人の売却の意向とタイミングにある。
まずは、借地人が借地権を手放したいと考えていること。それとこの場合、売却における借地人と地主のそれぞれの条件等を調整するなどの点から、時間的な余裕があることが必要となります。
借地人が売却を考える場面としては
①借地が不要になるケース
②状況・条件が悪い
といったケースが多い。
①借地が不要
借地が不要となるケースは、借地人の高齢化や相続のタイミングにともない不要となるようなことが多い。
事例として、借地人に相続が発生したケースでは、借地人側の母がなくなり使わなくなった借地権について売却を希望、地主にこのことを相談すると自身も高齢で将来に不安をもっており、地主も家族に相談したところ底地を早めに整理することを提案され、同時売却に至った。
売却価格は5000万となり、借地権割合は借地人70%地主30%のエリアであったが、同時売却の場合地主への名義書換承諾料(借地権の1割程度)を払わなくてもいいこと、加えて従前の更新時に更新料を地主に対して支払っていなかった経緯があり借地人6割地主4割の割合で分けることになった。
なお、今回のケースが借地人からの売却相談だったこともこの割合でまとまった理由にある。もし地主からの売却提案からの同時売却であれば分ける割合については7:3のままであったかもしれない。
②状況条件が悪い
古くから借地として貸し出しているところで、場所によっては再建築不可などの物件も少なくない。
土地が狭く、再建築不可の物件については借地単独や底地単独の売却しようとしてもなかなか買い手もつかない。アパート等で入居者が退去してしまった場合に古い建物を新しく立て直しを検討しようにも再建築不可では立て直しも出来ない。このままでは更に状況は悪くなり、前述したとおり借地単独・底地単独の売却はむずかしそうだ。
こういったケースで建物が活用できそうであればリフォームを前提に投資家等に収益物件として同時売却することが可能だ。過去にも再建築不可の物件を戸建賃貸としてリフォームをして投資家に購入してもらった経緯がある。
同時売却のポイントの補足として、地主と借地人との関係性、借地人の人数もある。
地主から相談を受けて、借地人へ相談しにいくと借地人自身も手放したいと考えている様子だが、交渉を進めても過去のやりとりや経緯などもあり、双方の関係性がこじれてしまっておりなかなか話が進まないケースや、借地人の人数が多い場合は、全員の売却の合意をタイミングをあわせて行うことは思いの外難しくこちらも進まないケースだ。
地主について底地の資産性をと考えると収入面として地代収入しか無く、売却も流通性の点で低くなってしまう。そこで同時売却を行うことで通常の所有権不動産と同様の取り扱いをしてもらうことで高値で売却しやすくなる。借地人側も前述したように底地借地の同時売却であれば地主への名義書換料が発生しないため借地人にとってもメリットが有る手法だ。そのためにも、日頃から相手方とのコミュニケーションをとり、家族構成や年齢、売却なのか保有したい意志があるのかなどを情報収集しておくことは大切です。
ポイント
条件がそろえば高値で売却可能
時間的な余裕は必要
売却の意向とタイミングがそろうか
地主と借地人の関係性が大事
当事者の人数が多いと進まないケースも